支部長ご挨拶

日頃より日本東洋医学会東北支部の活動に多大なるご支援とご協力をいただき、心より御礼申し上げます。
東北支部の支部長を拝命しております高山真でございます。
諸先輩方が築き上げてこられた素晴らしい足跡を大切に受け継ぎ、伝統ある本支部のさらなる発展と地域医療への貢献に全力を尽くす所存です。

東北の地における伝統医学の使命と「災害医療」

広大な面積を持つ東北地方は、多様な医療ニーズや深刻な医師不足など、現代医療が直面する多くの課題を先取りしている地域と言えます。このような背景のなか、患者様一人ひとりに寄り添い、心身のバランスを整える東洋医学(漢方医学・鍼灸医学)の果たすべき役割はますます大きくなっています。
特に、私たちは東日本大震災をはじめとする繰り返される自然災害を経験してきました。災害医療における東洋医学(漢方・鍼灸)の役割や被災者支援の経験、課題をしっかりと整理し 、これらの貴重な知見や経験を次世代へ継承していくことは、東北支部における極めて重要な使命の一つであると考えております。


今後の重点的な取り組み
1. 漢方医と鍼灸師の「病鍼連携」の促進


1) 東洋医学という共通のルーツを持つ漢方医(医師)と鍼灸師が緊密に連携し、互いの治療法への理解を深め、専門性の壁を取り払って診療情報を共有できる「顔の見えるネットワーク」の構築を目指します。

2) 合同での鍼灸シンポジウムなどの活動を通じて、地域医療における多職種連携・病鍼連携をさらに前進させてまいります。

2. 臨床研究の推進とエビデンスの構築

1) 伝統医療の知恵を現代の臨床に活かすためには、科学的なエビデンスが不可欠です。

2)近年では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの新興感染症や、その遷延症状である後遺症(Long COVID)に対する漢方薬の有効性・安全性を検証する臨床研究(IMJEDI研究など)を主導し、東北から学術的な発信を行ってきました。 また、救急医学における漢方の活用の情報発信も行ってきております。

3) 今後も地域発の臨床研究や症例集積研究を積極的に積み重ね、伝統医学全体の発展に寄与します。

3. 次世代を担う医療人材の育成と標準化

1)若手医師、歯科医師、薬剤師、鍼灸師など、多様な医療従事者が卒前・卒後の段階から体系的かつ効率的に東洋医学を学べる環境づくりに注力します。

2)教育カリキュラムの標準化や共通スライドの活用を進めるとともに 、ベッドサイドでの実践的な診察技術(四診)や思考プロセスの伝承をサポートし、未来の伝統医学を担う人材を育成します。

4. 地域社会への貢献と市民への啓発

市民公開講座などの啓発活動を通じて、地域住民の皆様へ東洋医学の正しい知識やセルフケア、養生の方法を分かりやすくお伝えし、地域の健康増進に貢献してまいります。

結びに代えて
東洋医学の最大の魅力は、病だけでなく「人」を包括的に診る温かさにあります。広大な東北の各地域で日夜奮闘されている会員の皆様が、互いに切磋琢磨し、貴重な症例や経験を共有し合えるような、活気と包容力に満ちた組織づくりを目指してまいります。
皆様におかれましては、今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

日本東洋医学会 東北支部支部長

東北大学病院 総合地域医療教育支援部・漢方内科 高山真